目で読むSDGs図鑑①「みんなが大人になるころ、海のプラスチックごみが、魚の量をえるってほんと!?」

かんしゅうよしあや

世界中で「海洋プラスチックごみ」が問題になっています。げんざい、年間約800万トンのプラごみが海に流れ出ていて、やがて、海の魚の量を超えるともいわれています。もしかしたら、焼き魚やおさしが食べられなくなってしまうかも......。どうすればゆたかな海を守れるのでしょうか。本れんさいかんきょう問題をたんとうしていただく、国立環境研究所のよしあや先生にうかがいます。

いまの海

いま海には1億5000万トン以上のプラスチックごみがある。
まだ魚のほうが多いけれど......。

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そくされる2050年の海

現在、年間約800万トンのプラスチックごみが海へ。
このままだと、2050年にプラスチックごみが魚の量(重さ)を超えてしまう!

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わたしたちのしょくたくから焼き魚やお刺身が消える!?

 ペットボトル、レジぶくろ、食品トレイ......、私たちの生活には、プラスチックせいひんがあふれています。
 とても便利なプラスチックですが、かいしゅうされずにせんを通じて海に流れこんだ「海洋プラスチックごみ」が世界中で問題になっています。 毎年海に流れ出ているプラスチックごみは、なんと約800万トン! イギリスのエレン・マッカーサーざいだんが世界けいざいフォーラムと作成した調ちょうしょによると、「重要な行動がなければ、2050年までに、重量で、海洋にはプラスチックの量が魚の量よりも多くなってしまうのうせいがある」やくへんしゅう /注1)と予想されています。
 プラスチックごみは、時間がたってもほとんどぶんかいされません。海ガメがプラスチック製のてられたぎょもうにからまったり、鳥がエサとちがえてレジ袋を食べてしまったりするケースがあとをたないのです。
 さらに、プラスチックは、太陽のがいせんや波などにより、細かなへんになっていきます。直径5ミリメートル以下のつぶのように小さな「マイクロプラスチック」を魚たちが飲みこんでしまいます。
  吉田先生、こうした魚を人間が食べてもだいじょうなのでしょうか?
「マイクロプラスチックを、生物がからだに取りこんで、どのようなえいきょうがあるかは、まだ十分に分かっていません。ですが、マイクロプラスチックには、体によくないがくぶっしつがくっつきやすいせいしつがあります。それらの化学物質が体内にたまることで、健康に悪影響をおよぼすことが心配されています。」
 海洋プラスチックごみがつづけてしまったら、いつか魚を食べられなくなるかもしれません。その日は少しずつ近づいているのです。


すいとう(マイボトル)を使うと地球環境にいいって、ほんと?

 国内の海岸にひょうちゃくしたプラスチックごみを調査したところ、全体の約40%がペットボトルでした。現在、日本では年間約220億本のペットボトルがしゅっされています(グラフ1)。 日本のペットボトルの回収率は非常に高く、9割を超えているのですが、そもそもしょうされているぜったい量がとても多いのです。

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2020年度の出荷本数は約217億本で、2004年度の約148億本とかくすると1.47倍に増えた。PET ボトルリサイクルすいしん協議会「PETボトルリサイクル年次ほうこくしょ」(2021年度ばん)をもとに作成。2020年度はコロナの影響で げんしょう
https://www.petbottle-rec.gr.jp/nenji/2021/p06.html

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平成28年度全国10地点(わっかないむろはこだてくし もとくにさき しまとう種子島たねがしまあま)で漂着ごみのモニタリング調査がじっされました。各地点の海岸線50mの中にそんざいしたごみの種類や量等を調査した結果です。
はっぽうスチロールへん等、 れっしてしょう になったものは、すうを計測していません。

個数で見ると、飲料用ボトルがプラスチックごみ全体の38.5%をめている。ほかには、漁具や海の道しるべになる「ブイ」などが多くなっている。環境省「海洋ごみをめぐる最近の動向」をもとに作成。
https://www.env.go.jp/content/900543475.pdf

 ペットボトルのごみをらすことは、海洋プラスチックごみ問題解決への第一歩ともいえます。このごろは、水筒に飲み物を入れて持ち歩く人も増えてきました。

「ペットボトル飲料を買わなければ、プラスチックごみは出ませんよね。 たとえば、500mlの飲料を飲む場合、原料から製造、そうせんじょうはい・リサイクルまでのさんたんはい しゅつりょうをくらべると、一般的な真空こうぞうのステンレス製水筒は、12回ほど使えば、ペットボトルを毎回使い 捨てるよりも、二酸化炭素排出量が低くなり、環境にやさしいことがわかっています。」(注2)
  吉田先生は「まずは、自分たちが、プラスチックごみをどれくらい出しているかを調べて、できることを考えてみて。」と話します。
 外出先でペットボトル入りの飲料を買うかわりに、たくで飲み物を用 意して水筒で持参すれば、その分のプラごみは減らせます。また、ペットボトル飲料を買って飲み終わった後は、かくじつにごみ箱などに捨てることも重要です。
 他のプラごみについても同様です。まずは、減らす。どうしても使う場合には、必要以上に使わないことを心がけると良いと思います。


*注1:WORLD ECONOMIC FORUM「The New Plastics Economy :Rethinking the future of plastics」(新しいプラスチック経済~プラスチックの未来をさいこうする)より。 https://www3.weforum.org/docs/WEF_The_New_Plastics_Economy.pdf 
*注2:製品やサービスの原料調達から流通・ 消費、はいまでにかかる環境負荷全体をデータで表す手法「ライフサイクルアセスメント」(LCA)によって算出。

かんしゅうよしあや

国立研究開発法人 国立環境研究所 げんじゅんかんりょういきしゅにん研究員

ごみ問題やリサイクルのげんじょうを通じて、持続のうなライフスタイルを研究している。しょせき「これってホントにエコなの?」(東京書籍)のかんやくも担当。

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