第3回「青いスピン」作品募集 結果発表
第3回「青いスピン」作品募集には、210作品ほどの応募がありました。たくさんのご応募、ありがとうございました。厳正な審査の結果、次のとおり受賞作品を決定いたしました。
「バトンとハナのあな」 文月レオ
「七夕の空」 にたくみこ
「幸せの四つ折りメモ」 島田美里
結果発表
入選 「がんばれ、兄ちゃん」 オガワメイ
夏の高校野球地区予選。良太の兄、健太は、弱小チームのピッチャーとして最後の試合にいどむ。試合前に兄とけんかした良太は、複雑な思いをかかえながら応援席に座る。0対0のまま試合は進み、5回裏。すると、健太の様子に変化が......。
入選 「バトンとハナのあな」 文月レオ
運動会の練習で、六年生が主体の応援団に、五年生で一人だけ仲間入りすることが決まったゆりちゃん。しかし、クラスメートの些細な一言が彼女の心をざわつかせる。笑顔の裏にかくされたゆりちゃんの本当の気持ちとは。
佳作 「七夕の空」 にたくみこ
蒸し暑い土曜の朝、黄色い水筒を持って郵便ポストの前に座る少年が「ぼく」の目に留まる。かれは毎週郵便屋さんを待ち続けているようだが、その理由は分からない。ある日、かれの願いを知ることになるけれど......。
佳作 「幸せの四つ折りメモ」 島田美里
バスケ部でいそがしくなるハルナと、少しきょりができてしまった「私」。ある日、机の中で見つけたメモから文芸部の先輩との不思議な交流が始まる。心のきょりが縮まる中、文芸部を訪れた「私」が目にしたものは、予想外の光景だった。
入選作品は、「青いスピン」に掲載いたします。「がんばれ、兄ちゃん」は、第6号に掲載しました。「バトンとハナのあな」は、第7号に掲載予定です。
選評
入選・佳作の作品について、選考委員の西本鶏介先生、安東みきえ先生、椰月美智子先生よりコメントをいただきました。
入選 「がんばれ、兄ちゃん」
● あたりまえの日常をえがいているだけなのに、心に残る場面や言葉がたくさんあった。弟の良太の心の動きや子どもらしさを通して、兄弟の思いやりや家族の日常が伝わってきた。(椰月)
● だれもが共感できて、読みやすい作品だ。兄弟の愛情が分かりやすくえがかれていて、安心して読める。(西本)
● 最初、べたな内容だと感じたが、読み返すと胸にせまってきた。試合の様子や良太の心情など、バランスよくえがけている。(安東)
入選 「バトンとハナのあな」
● 鼻の穴という題材が特 徴 的な作品。主人公に特別感があるため、共感しづらい読者もいるだろう。 (西本)
● 鼻の穴を題材にした発想がユニークな作品。真面目でいることを笑わないというメッセージが感じられて、すがすがしい。読後感もよい。 (安東)
● いじめを連想させる展開から始まり、途中でそうではない方向に転換するところがよい。主人公がポジティブで魅力的に感じる。(椰月)
佳作 「七夕の空」
● 情景描写が色彩豊かで、表現方法が多彩。ファンタジーと現実のあいまいな部分をねらっているところがよい。(安東)
● 叙情的な作品で、おばあちゃんに手紙を届けたいという設定がよい。作品後半の展開も温かい。ただし、郵便ポストの前で手紙を待つ少年の行動に少し違和感を覚えた。(西本)
● 雰囲気がよく、独特の世界観が感じられる作品。しかし、ラストの部分が取ってつけたように感じた。 (椰月)
佳作 「幸せの四つ折りメモ」
● SNS全盛の中、机の引き出しを利用して手紙のやりとりをする、という設定がよい。(安東)
● 読ませる力があり、上質な雰囲気のある作品。友達が部活に行ってしまい、一人ぼっちになることへのあせりなど、中学生の心情もよくえがけている。(椰月)
●俳句を通した交流は興味深い。しかし、てんさくの仕方が先生のようでおもしろみに欠ける。てんさくの内容はメモ程度であればよかった。(西本)
選考委員
安東みきえ先生 (児童文学作家)
西本鶏介先生 (児童文学作家・児童文学評論家)
椰月美智子先生 (作家)